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 ←続・愛の檻 →◆◆2 楽を奏でる黎翔
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愛の檻シリーズ

愛の檻・完

 ←続・愛の檻 →◆◆2 楽を奏でる黎翔
『愛の檻』の、いきなり最終話です(笑)

<これまでのお話>
旅の末に故国にたどり着いた王女夕鈴。しかし、彼女と共に旅してきた黎翔は囚われ、獄中死してしまった。恋人の死を嘆き悲しむ夕鈴のもとへ、輿入れの話が・・・。



花嫁の覆いをかぶったまま、周りの見えない夕鈴は、侍女に導かれるままそこへ座った。寝台かとも思ったが、椅子らしい。手を下ろすと座席が長く続いていて、長椅子らしいことがわかった。
こちらでお待ちくださいませ、と声がして、それきり侍女もいなくなってしまったようである。
ここは国王の私室。
次に人があらわれるときは、国王陛下--この部屋の主にして、今夜、彼女の夫になる人だろう。

今夜、私は、白陽国の国王・珀黎翔の妃になる--
夕鈴はひざの上で、衣をぎゅっと握り締めた。
彼女にとって、たった一つの慰めは、真に愛しい人の名を呼んでも咎められないことだった。
--黎翔・・・
いつだったか、彼は--私は『狼陛下』の影武者だったのかもしれないな、と言っていた。『狼陛下』を見たことがあるという人物が、彼を見て驚くほど、背格好がよく似ているらしかった。
武官として仕えていた彼が見いだされて影武者になる--それはありえる話で、彼はそれでいろいろなこと(命を狙われる状況に慣れていたり、王宮のことに通じていたり)が得心がいったらしく、その考えが気に入っているようだった。
もし、それが本当なら、彼もこの王宮で生活していたのだろうか・・・。

人が入ってくる気配がして、夕鈴は物思いから引き戻された。
「--待たせたな」
その声は、彼女がよく知っている声と聞き間違うぐらい、とてもよく似ていた。
一瞬、彼があらわれたのかと夕鈴は思い、すぐにそれを打ち消した。
彼の言っていたことは本当だったのかもしれない、と悟った。
彼が狼陛下の影武者ならば--狼陛下は、彼と似ているのだろうか--?

どきどきと心臓が早鐘を打つ。
声の主は、夕鈴の隣に腰を下ろした。
肩に、手がかけられて。するすると覆いが取り除けられる気配がした。
夕鈴は怖ろしくなって、目を閉じた。
「ようやく会えた、私の姫君」
目を閉じたまま聞いていると、死んだはずの彼がよみがえったかのように思えた。
ううん、彼に似ていると思いたいから、そう聞こえるだけなのかもしれない・・・
そう思うと、目を開けるのがいっそう怖ろしくなった。
「夕鈴・・・」まぶたに、あたたかな感触があった。
なんてやさしいキスをする人だろう。こんなことまで、彼に似ているなんて。
彼によく似た声が、少し困ったように苦笑するのが聞こえた。
「目を開けてくれ、夕鈴」
目を開ける前に、夕鈴は覚悟を決めた。妻としてできる限り、この人を愛するよう、努力しよう。たとえ、彼女の心のすべてを捧げることはできないにしても--
夕鈴はそろそろとまぶたを開けた。

夢にまで見た愛しい人が、そこにいた。
ぼうぜんとして声も出せない夕鈴に、彼はやさしく微笑んだ。
「夕鈴?私の顔を忘れてしまったのか?」
今のは幻聴--?
「私だ。君の、黎翔だ」
「うそ・・・、黎翔は、死んだはず・・・」
「君までそう信じていたのか・・・まさか私の脱獄がそこまでうまくいくとは」
「え--?」
「まあ、あの牢獄の中で私は思い出したのだから、それを思えばあそこに入ったかいはあったのかもしれないな」
彼は悪戯っぽく笑った。その笑い方は、まさに夕鈴がまぶたの裏に思い描いていた、愛しい人そのものだった。
「黎翔・・・!」
夕鈴は身を投げ出した。
厚い胸に抱きとめられ、その広い背にしがみつくように腕を回した。
力いっぱい、抱きしめた。
あたたかい彼の感触が、ただただうれしかった。彼が生きているという証が。
「生きていてくれたのね、黎翔・・・黎翔・・・」
はっと気付いて、夕鈴は渾身の力で黎翔を退けた。
「--陛下は?」
「え?」
「もうすぐ陛下がお見えになるはずよ。貴方がここにいていいの?」
彼は少しまばたきをして--寂しそうに微笑んだ。
「・・・君は影武者の私などより、国王陛下のほうがいいのか?」
夕鈴は反論する隙も与えられず、あっという間に長椅子に押し倒されていた。
「黎翔、何を・・・!?」
抗う夕鈴に、彼は低い声で告げた。
「夕鈴--抵抗すると、装いが乱れて不審がられる」
「・・・!」夕鈴は抵抗を中断した。
黎翔は夕鈴を見下ろして、ため息をついた。
「君は、それほど陛下のご不興を買うのが怖ろしいのか」
「ちがっ・・・、こんなところを見つかったら、あなたが・・・」
「覚えているか?かつて君に捧げた言葉を・・・」
彼は顔を寄せてきて、夕鈴の耳に唇で触れんばかりに、ささやいた。
「・・・君を得るためなら、私は大罪人になっても構わないと」
「だめよっ、そんなの絶対にだめっ!!」
夕鈴は彼を突き飛ばす勢いで、押しのけた。
彼は、ただ悲しそうな目で見つめてきた。
「君はもう--嬉しいとは言ってくれないのか?」
「だって、あなたに死んでほしくない・・・」
思い出しただけで、涙がぼろぼろっとこぼれた。彼が死んだと聞かされた日。いつ何を食べ、いつ眠ったかもわからない、ただ息をしているだけの--生きているという実感すらない日々。
「・・・もう二度と、あんな思い、したく、な・・・」
夕鈴は唇を噛み、顔を両手でおおった。
「夕鈴・・・」
手の甲に、彼の唇を感じた。 彼の舌を、歯を、あたたかな吐息を感じた。
--こんなときでも、彼が生きている証が、うれしい私は・・・、
どれほど彼を愛しているのか、と思い知らされるのと同時に。
彼の言葉が、降りてきた。
「愛している、夕鈴・・・」
「あ・・・」
言葉の次には、唇が降りてきて、それを証明した。
いけない、と思っても、激しく求められるのをうれしいと思う気持ちが涌き上がってくるのを、止められなかった。
体が彼に応えてしまう。彼に愛されたいと願ってしまう。
「だめ、黎翔、いけない・・・」
夕鈴は彼の肩に手をかけていたが、押しのけようとしているのか、抱き寄せようとしているのか、彼女自身にもわからなかった。
「夕鈴、君は私のものだ」
低い声でささやかれると、力が抜けて、抵抗する気力すら奪われてしまう。
夕鈴は身をよじらせながら、残っている最後の気力を振り絞った。
「黎翔、お願い・・・放し、てっ・・・」
「いつまで君が私を拒めるか、試してみようか・・・?」
「やっ・・・」

そのとき、第三者の声が混じった。
「あーあ、意地悪するのもそのへんにしとけば?狼陛下」
「浩大・・・」彼は舌打ちして体を起こした。「今夜、お前に用はない。去れ」
いつのまにかそこにいた少年は、え~?と不満の声を上げた。
「ひどいなあ。オレが陛下を見つけなかったら、こんなに早く帰ってこられなかったと思うしー、そしたら姫ちゃんと会えるのだってもっと遅かったかもよ?」
夕鈴もあわてて体を起こしながら、たずねた。
「黎翔、この人は・・・?」
「ああ、私の隠密だ」
「姫ちゃん、はじめまして!いや、今はお妃ちゃん、かな?オレが陛下の逃亡を手伝った有能な隠密の浩大です!」
目を丸くしている夕鈴に、少年はにかっと笑った。
「お妃ちゃんが今いっしょにいるのは、正真正銘、本物の『狼陛下』だよ。もともと影武者なんかじゃなくて、本人だったってワケ」
「え---!?」
黎翔を見ると、彼はしれっとした顔を作っていた。
少年を見ると、彼は狼陛下をちらっと見やり、「じゃ、オレはこれでっ」と姿を消してしまった。
「ど、どういうことなんですかっ!?」
「それを話すと長くなる。今はただ、君との再会の喜びに浸っていたい」
再び口付けしようとしてくる彼の胸元を、夕鈴は両手で押しとめた。
「待って!ちゃんと説明してください!」
「それは後回しだ。夕鈴、君に会えない間、私がどれほど君に焦がれていたか・・・」
「私なんて、黎翔が死んだと思って、ずっと泣き暮らしていたんだからっ!!」夕鈴は彼の胸元をぽかぽか叩いた。
「では、我が妃に聞かせて進ぜようか--寝物語に」
「え?」
狼陛下は花嫁を抱えて、すっくと立ち上がった。
「黎翔、あ、えっと・・・陛下?」
「どちらでも、我が妃の望むままに」
彼はすたすたと歩き出した。
「妃って・・・えっと、黎翔が陛下で、私は黎翔の・・・陛下の妃になるの?」
混乱している夕鈴に、彼はやさしく微笑んだ。
「そう。君は私の唯一の妃になるんだ」

~終~



あの二人、どうなるんだろうな~と気になったので、いきなり結末を書いちゃいました(笑)
なんかここでも陛下は打ち明けるタイミング逃しちゃってますね(^^;)
しかし牢獄で思い出すって・・・この陛下は王位争いで監禁されていた過去でもあるのかもしれない。
紅珠先生の本編では夕鈴の身元は伏せられたまま後宮入りするみたいですが、ま、これは二次ということで。

↓一応考えた設定
夕鈴の故国は、夕鈴の父が亡くなった後、後継者争いで内乱に。内乱が終わったので夕鈴は王家の宝(玉璽とか?(←三国志的発想)なんかもうちょっとロマンチックなものでもいいかな~)を新国王(異母兄)に渡すために旅してきた(王家の宝が正統な後継者の手に渡らないとまた争乱の種になりかねないため)。追っ手は王家の宝を狙ってる。
↓みんな夕鈴に恋しちゃえばいいよ!な設定
異母兄はかつて夕鈴の母(父の妃)に恋していて(年は夕鈴の母と同じぐらい?三十代前半)、夕鈴にも惹かれてしまうんだけどそれは禁忌なので、だったらいっそ遠いところへ嫁にやってしまえ!みたいな。狼陛下が夕鈴に出会うことなく荒んで年を重ねたようなイメージ。
何のつてもない夕鈴が国王に会えたのは、王の好みの娘を探していた家臣に見いだされて後宮へ連れて行かれたのかな。「今度こそ、陛下のお気に召すと存じます」 「その台詞は聞き飽きたぞ。お前はそう言って何人の娘を私の寝室へ送り込んだ?」 みたいな。
黎翔については監禁後、口封じのために殺したつもりでいる。夕鈴には武官として戦地へ赴いたとか適当なこと言うんだけど、ばれて泣かれる。
牢獄の番人は逃げられたなんていったら責任問題なので、死んだと嘘の報告をしたか、買収されたか。

↑誰か書いてくれませんか?(笑)



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>美紀様 

ハッピーエンド万歳のお言葉ありがとうございますv
あそこで浩大出てきてくれないとハッピーエンド的ラストシーンに持っていけず・・・
ひたすら抵抗する夕鈴vs狼陛下のテク
という別のトーンのお話になってしまいそうで(笑)
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