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短編

白陽国の秘宝展

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現代パラレル。転生ネタ……なのかな?美術館デートする二人。



美術館の前には、すでに行列が出来ていた。
「わー、並んでますよ、黎翔さん」
「ホントだね。春休みだからかな」
夕鈴はもらっておいてよかった、と手の中のチケットを眺めた。『白陽国の秘宝展』。友人の紅珠がくれたチケットである。
「黎翔さん、お仕事大丈夫でしたか?」
「うん。夕鈴が誘ってくれて、嬉しかった」黎翔はにっこりと笑った。
「…………」
「夕鈴?どうかした?」
「いいえ、なんでもないです!行きましょう、黎翔さん」
夕鈴はあわててごまかした。ぼーっと見惚れてしまったなんて言えない。黎翔はやや丈の長いコートを着ていたが、長身の彼によく似合っていた。こんなかっこいい人が恋人だなんて、付き合って数か月になる今でもまだ信じられない。
二人は美術館に入り、人の流れに従ってゆっくりと順路を進んでいった。
特に人だかりの多い一角にたどり着くと、そこには目にもまばゆい宝石を嵌め込んだ装身具が陳列されていた。 
「王様がお妃様に贈った髪飾りですって。すごい……綺麗……」
「ゆーりんもやっぱり女の子だね。そういうの好き?」
「え?いいえ、別に」
「そう。じゃあこれ、無駄になっちゃったかな」
黎翔はコートのポケットからごそごそと何かを取り出した。布張りの小箱は、手のひらにおさまるサイズだった。彼はそれを夕鈴の目の前で開けた。
 箱の中には指輪が納められていた。小さいのによく光る石が付いている。
「夕鈴。僕と結婚してくれる?」
「!」
周りがざわめいた。「もしかしてプロポーズ?」「何かの撮影?」「見たことない俳優さんだけど、イケメンじゃない?」「モデルじゃない?背高いし」
周囲の視線が集まる。夕鈴はあわてて黎翔の袖をつかんで、部屋の外へ出た。
「黎翔さん、こんな人前で、やめて下さい!」
「驚かせてごめん。上手く言えないけど……今、捕まえないと、君がどこかへ行ってしまうような……そんな気がして」
黎翔に切なく訴えられると、夕鈴は勝てない。夕鈴は黎翔の袖でなく、手をつかんだ。
「私、どこへも行きませんよ?」
「……うん」
「ずっと黎翔さんのそばにいますから。黎翔さんが望む限り」
「じゃあプロポーズはOKってこと?」
「え」
「よかったぁ」
黎翔は満面の笑みを浮かべたが、夕鈴は見惚れる暇もなくうろたえた。
「待って下さい、黎翔さん!そんな……」
そんなつもりで言ったんじゃないです、と否定する言葉が出かかったとき――頭の中で誰かの声がした。
『本当にそれでいいの?後悔しない?』
それは夕鈴自身の声にも似ていたが、誰か他の人の声のようにも聞こえた。
よくない、私だって本当は……黎翔さんといたいけど、でも……。
「……本当に……?」夕鈴はなんとか言葉を振り絞った。
「もちろん本気だよ」
「でも黎翔さんと私じゃ、住む世界が違います」
「この現代でそんな言い訳が通用すると思う?」
黎翔の言い分には一理ある。しかし実際の社会ではそれは建前であることを夕鈴は知っていた。
「身分制度はないかもしれないけど、家柄の違いとか、いろいろ……ないわけじゃありません」
「あの王様とお妃様ほどじゃないよ」黎翔の整った顔が笑う。
「でも……!」夕鈴はかぶりを振った。
「夕鈴。正直に言うと、僕も迷ってた。僕の世界に君を巻き込んでしまっていいのかと」
真剣な黎翔の声に、夕鈴は頭を上げた。
紅い目に視線をからめとられる。
「それでも僕には、君のいない世界なんて考えられないんだ」
「…………」
言葉の代わりに、目から涙がこぼれた。
「私も、です……私も、黎翔さんがいない毎日なんて、想像できない……」

黎翔はそっと夕鈴を抱き締め、ほうっとため息をついた。彼女の温もりが、安堵をもたらしてくれる。
先ほど襲われた悪寒を思い出してしまい、黎翔はかすかに身震いした。
あの髪飾りのウィンドウケースの前にいたとき――天啓のように、直感が降りてきた。彼女を捕まえないと、砂を噛むような日々を送ることになる。その寒々しさが、鳥肌が立つほどはっきりと伝わってきたのだった。



プロポーズが実り一段落して――
途中で帰るなんてもったいないと夕鈴が言い、二人は最後まで観ていくことにした。
書画の展示室は、作品が色あせないように照明をやや落としてある。薄暗い室内の一番良い場所に、白陽国の国王の肖像画が飾られていた。
「この王様、黎翔さんに似てませんか?」
「……そう?」
僕はこんな怖い顔をしているのだろうか、と黎翔は自分の頬をさすった。
絵の中でさえ彼の目は冷たく、見る者を畏怖させる威圧感があった。
国王の肖像画は、馬上姿だった。戦場の鬼神と呼ばれ、中央政界を容赦なく粛清し、狼陛下と怖れられた王。
そんな人物に私的な悩みがあったとは想像しにくい。国王の立場でただひとりの妃を守り抜くのは、周囲の反対や妨害があっただろうし、本人たちも苦労したのではと思うのだが……。
「貴方も……迷ったことがあったのかな」黎翔はつぶやいた。
一瞬、絵の中の彼の表情がやわらいだように見えた。


~終~


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~ Comment ~

はじめましてm(__)m 

いつも楽しく拝見させていただいてます。

転生モノ大好きです(*´ω`*)

『たった一人の妃を大事にした』のなら、陛下と夕鈴は添い遂げたんでしょうね!

『白陽国の秘宝展』是非行きたいです~(*^.^*)夕鈴の蝶の簪や陛下の折った筆、李順さんの眼鏡なんかあるといいですね~(^w^)もちろん紅珠先生の超大作もあるでしょう

現パラアンソロジー、とらさんめ、まだ送ってくれないのですよぅ(;o;)早く読みたい(._.)

>RON様 Re: はじめましてm(__)m 

コメントありがとうございます!
こんな美術展があったら私も行きたいです。陛下のもふもふや紅珠先生の直筆の物語もあると思います。
でもお妃様の肖像画は陛下が自分の棺に入れてくれとか無茶な命令をしてあんまり残ってないんじゃないかな、
なんて想像しております。
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