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短編

遊び人の岩さん

 ←◆◆3 兎の背中 →慎さまより艶イラスト 悩殺陛下☆
夕鈴の父・岩圭には実は裏の顔が・・・!という設定でちょろっと書いてみました。以前、チャットで出た話題です。
夕鈴が臨時花嫁になる前夜のお話。



「なあ。いいもうけ話があるんだが。一口乗らないか?」
汀岩圭がその男と会ったのは、いつもの闘鶏場でだった。
事前に、その男のこちらを探るような視線に気付いていた。
そこで賭けに負けたときわざと大げさに嘆いてみたら、案の定、声をかけてきたのだ。
がっかりした表情を保ちながら、岩圭は答えた。
「なんだい、もうけ話って」
「アンタ、お役人なんだろう?」
「まあ、そうだが」
どうやら獲物が引っかかったみたいだな、と岩圭は内心ほくそ笑んだ。
今上陛下--狼陛下の御世になってから、不正行為の摘発が厳しくなっている。
岩圭は摘発の情報を知りうる部署に籍を置いていた。
”犯罪組織が欲しがる情報にアクセスできる、簡単に買収できそうな借金漬けの下級役人”というのが、彼の表の顔だった。
獲物を引っかけるには絶好の餌である。
そのため、日ごろからごろつき共と接触しやすい闘鶏場や賭博場をうろうろしているのだ。
またそういう場所は情報収集にも都合がよかった。

彼が報告をしに、上司のもとへ行くと--
思いがけない客と引き合わされた。
部屋の奥にいたのは、眼鏡をかけた若い青年だった。
「李順様・・・!」
「岩圭殿、なかなか活躍しているようですね。まあ当然ですか。貴方には小さな・・・失礼、簡単な仕事でしょうから」青年は眼鏡に手をやりながら言った。
「恐れ入ります。・・・ですが李順様は世間話をなさりにわざわざいらっしゃったわけではないでしょう。陛下の側近ともあろう方が」
「ええ、貴方にお話がありまして」
眼鏡の青年はおだやかに微笑んだ。
一見、白面の優男といった感じの青年だが、若くしてあの狼陛下の側近を勤めている男である。彼を侮って、足をすくわれた汚職官僚が少なくないことも、岩圭は知っていた。
李順がわざわざ出向いてくるとは・・・それほど大掛かりな、難しい仕事を持ってきたのだろうか。
岩圭は気を引き締めた。
しかし李順の話は、予想とはまったく違っていた。

「娘を王宮へ・・・でございますか?」
「ええ」
「それはまた、急なお話で。・・・身内を差し出せとは、まるで人質のようですな。私の忠誠にお疑いでも?」
岩圭は警戒した。国家のために秘密裏に働く者の中には、敵側に抱き込まれ、裏切る者がいないわけではない。
「いいえ、そういうことではありません。短期間、王宮で仕事をしてもらうだけです」
李順はおだやかな物腰を崩さなかった。
しかし岩圭は油断しなかった。
「娘には、下町で平和に暮らすために必要な教育しかしておりません」
「構いません。教育などはどうとでもなる」
言い切った青年の口調に、岩圭は嫌な予感がした。何かもっと裏があるような。
なんとか探れないものかと、無難な質問をする。
「どのような仕事なのでしょうか」
「貴方の娘さんは家事が得意だそうですね。厨房の下働きでも、掃除婦でも、王宮には仕事がたくさんありますから」
「・・・・・・」
夕鈴のことをすでに調べているのかと思うと、いい気持ちはしなかった。
李順はニコ、と笑顔を見せた。
「別に難しい仕事ではありませんよ。ただ私としては、身元のしっかりした、口の堅い、信用できる人材が欲しいのです」
「は・・・」
それは岩圭にもわかる。
下働きとはいえ厨房で働いていれば、陛下の食事に毒を盛る機会だってある。
機密文書を扱う部署だってあるし、そんな部署だってやはり掃除は必要なのだ。
李順の口調には、真実の響きがあった。
だが、何か・・・何かが引っかかる。
「そのためにわざわざお見えになったのですか?」
「それと、貴方の様子を見に」
青年の、感情を隠すガードがわずかに緩んだ。
「・・・奥さんのことは残念でした。ですが、そろそろ復帰する気にはなりませんか。貴方の能力にふさわしい仕事に」
「私は今の境遇に満足しています」きっぱりと岩圭は答えた。
「・・・そうですか。残念ですね」ふう、と李順はため息をついた。
「娘を巻き込まないでいただきたい。そもそも人質が必要になるほどの仕事はしていませんし、今後もする気はありません」
岩圭が詰め寄ると、李順は眉をひそめた。
「貴方の忠誠を疑っているわけではないのですよ。むしろその逆です。詳しくは話せませんが、私は今、信用できる人材を探しているのです。--それで貴方のことを思い出しました。貴方とあの奥さんの娘なら、あるいは・・・、と」
「それは一体・・・」
岩圭の問いには答えず、李順はあっさりと告げた。
「早いほうがいい。明日、娘さんを王宮へ寄こしてください」
それは選択の余地のない、最後通牒だった。



岩圭はとぼとぼと家に帰った。
「父さん、お帰りなさい。今日は早かったわね。また闘鶏場で負けたの?」と娘の夕鈴に出迎えられる。
「・・・ま、そんなとこだ」嘘ではないな、と思いながら岩圭は答えた。
「飲んでくるかと思って、ご飯用意してないわよ」とぶつぶつ言いながらも、夕鈴は手早く用意してくれた。
彼の目の前にあっというまにニ、三品の皿が並ぶ。
「いただきます」
「はい、どーぞ」と言ったときには、夕鈴はもう怒ってないようだった。
岩圭は漬物を口に運んだ。
味付けが亡き妻のものによく似てきたような気がして、どきりとする。
「うん。うまいな」
いい子に育ってくれたなあ・・・と思う。親の贔屓目を抜きにしても。夕鈴も青慎も、本当にいい子だ。
だからこそ、この下町で、ごくごく平凡に、幸せに暮らして欲しいと思っていたのだが・・・。
「どうしたの、父さん。ため息なんかついちゃって。・・・そんなに大負けしたの?」
「いや、そうじゃないんだ」
不穏な空気を察して、岩圭はあわてて話題を変えた。
「実は知り合いの人から聞いたんだけどな、なんでもすごく割りのいい仕事があるらしい」
「えっ、ホント!?」
「王宮で住み込みの仕事だそうだが」
「住み込み?」
「ああ。・・・夕鈴はイヤか?」
「ううん、全然!」
夕鈴は目をらんらんと輝かせていた。
岩圭には意外だった。てっきり、友達と離れるのは寂しいとか、青慎が心配だとか、そんなことを言うかと思ったのだが。
「お前も女の子だなあ、やっぱり王宮とかに興味があるのか?」
「別にないけど。住み込みだったら食費が浮くじゃない!」
「・・・・・・」
たくましい子に育ってくれたなあ、と思う岩圭であった。


~終~


・夕鈴のお父さんがあんなのって納得いかない
・なんで夕鈴が臨時花嫁に選ばれたんだろう?
・夕鈴は運動神経がかなり良さそうだ。特に投球(?)コントロール力。
・李順さんは陛下の側近なんだから、裏の仕事にも関わっているんだろうなあ
という深見の日ごろの不満・疑問・妄想をつっこんでみました。
夕鈴のお母さん、何かに巻き込まれて亡くなった感じになっちゃいましたが。お約束の設定ですね。

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