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 ←美しい罠 おまけ →【感想】第35話 いやだ
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短編

元気よすぎる舞姫の話

 ←美しい罠 おまけ →【感想】第35話 いやだ
勝手に捏造した、陛下の両親のお話です。


















--先々代の王の御世、白陽国の王宮--

宴の最中、王は、舞姫たちによる舞を見ていた。
特に興味があるわけではない。
いつもは舞を見ているふりをして、頭の中で全然違うことを考えていたり、家臣たちの様子を眺めていたりするのだが。
そのときは違った。
ひとりの舞姫が、彼の目を惹いた。
・・・なんだあの舞姫は。
技術的には申し分ない。躍動感もある。
しかし決定的に・・・なんというか、色気が欠けていた。
衣装も振り付けもそれなりに蠱惑的なもののはずなのだが。
にも関わらず、ここまで色気を感じさせないのは、ある意味才能といえるかもしれない。

王の目に留まろうとか、気を引こうとか、そんなことは全然考えていなくて。
ただ踊ることが大好きで、とても楽しい--そんな気持ちが彼女の全身から伝わってくる。
それが彼の目にはとりわけ好ましく映った。
面白い娘だ、と思った。
話をしてみたいとも。
彼が自分から女性に関心を抱いたのは、本当に久しぶりのことだった。

舞が終わった後、王はその舞姫に、そばへ来るよう命じた。
しかし舞姫は、ある程度近寄りはしたが、一定の距離を保ったままだった。
「どうした。近う」
「あの・・・踊った後で汗をかいておりますので、そのような体で陛下のおそばに参りますのは・・・」
「そうか。ならば湯浴みをするがよい」
王の言葉に、周囲がざわめいた。
「はい!ありがたくお言葉に甘えさせていただきます」
今度は舞姫の一団から、きゃー、と黄色い歓声が上がった。



舞姫たちは--王に声をかけられた舞姫も含めて--衣装を脱ぎに控え室に戻った。
選ばれた舞姫は、仲間たちにわっと取り囲まれた。
「やったじゃない、飛燕!すごい玉の輿よ!」
彼女は、その踊りの見事さ、身のこなしの軽やかさから飛燕という名で呼ばれていたのである。
飛燕はきょとんとして言った。
「は?なんのこと?」
「なーに言ってんのよ、この子は!後宮で浴を賜るといったら、陛下のお相手をするってことでしょ!」
「お相手って・・・ええーーー!?」
びっくりしている飛燕をよそ目に、舞姫たちはいっせいにしゃべりだした。
「いいなあ、王様だしイケメンだし!最高じゃない!」
「今までヘンな男に引っかからなくてよかったわね!」
「そういえば、飛燕、あっちのほうはどうなの?」
「へ?あっちって・・・?」
先輩連中はどっと笑った。
「もー、やだーっ!この子ってばホントにうぶなんだからーっ」
「そういう初々しさがいいのかもしれないわよお?」
「でも、いきなりじゃ飛燕もびっくりしちゃうじゃない?少しは知っておいたほうが・・・」
というわけで、多数の講師陣による、即席講座が開講されたのだった。
それは飛燕の迎えの女官が来るまで続いた。

後宮の浴室は高価そうな石材でできていて、気のせいか湯の質まで違うような気がした。
ちゃぷん・・・。
飛燕は湯をすくって、水面に落とした。
それから思わず、ばしゃっと水面をたたいた。
どーしよう、どーしよう!
そりゃ舞姫が王の寵愛を賜ることがあるのは知っていたけれど、まさか自分の身にそんなことが降りかかるなんて。
周りは玉の輿だと浮かれている。けれど飛燕は浮かれていられなかった。
本当に、何かのまちがいじゃないのかしら・・・?
飛燕は踊りのことにしか興味がなくて、他の舞姫たちのようにどこぞの坊ちゃんに貢がせるだの、将来の夢は金持ちの妾だの、そういうことには関心がなかった。
当然、王の御前で踊るときも、今の己にできる最高の舞を披露したいと--それしか頭になかった。
豪華すぎる環境に落ち着かない飛燕は、広い湯船の中で脚を折りたたんで縮こまった。
陛下に対しては、白陽国の民らしく、素朴な尊敬の念を抱いていた。
お風呂を貸してもらるなんて、ラッキー♪さすが名君と謳われる方は違うわね、こんなところまで気が利くなんて!と思ったのは、とんでもない勘違いだったが。
だって、そんな意味があったなんて知らなかったんだもん!
飛燕は顔を両手で覆った。
今思えば、あんなにはっきりきっぱりハイと答えてしまった自分が恥ずかしい。
まるで、やる気まんまんみたいじゃないのーーーっっ!!
・・・陛下はなんて思われたかしら・・・。
”イケメンだし!”と言っていた仲間の声がよみがえる。
確かに、雰囲気に圧倒されてよくわかんなかったけど、かっこよかったかも・・・。
いやいや、そういうことじゃなくて!
”全部陛下にお任せしていればいいのよ。あちらは大人だもの”と仲間の声がよみがえる。
でもでも、そんな、お任せするって言っても・・・うう、どうしよう・・・。
ぐるぐる考えているとのぼせそうになって、飛燕は湯から上がった。

女官たちに、香油を塗られたり、化粧されたり、ありとあらゆる手入れをされて。
ようやくひとりになったところで、飛燕はため息をついた。
案内された寝所はひっそりと静まり返っていた。
どこからともなく良い香りがただよってくる。
だが、それが部屋の香りなのか自分の香なのかわからないほど、飛燕は緊張していた。
灯りがほんのりと室内を照らしている。
(なんか、いかにもこれから・・・、って感じなんですけどー!)
着せられた寝衣はとても肌触りがよくて軽いものなのに、着慣れないせいか、なぜか重たく感じられた。
ううん、これも衣装と思えばいいのよ!
そうよ、これは舞姫の衣装で、私はこれから舞姫として振舞えば・・・。
・・・寝所で舞う・・・
そこで先輩連中から聞かされたきわどい話がばーっと頭の中をかけめぐって、ぼんっ!と飛燕は噴火しそうになった。
手持ち無沙汰だからいけないんだわ!何かして、時間をつぶそう!
そこで飛燕は柔軟体操をすることにした。

ちょうど大股開きの、あられもない格好のときに--王が入ってきた。
「きゃぁあああっ!!」
「あ--失礼」
王はとっさに後ろを向いた。
(ん?なぜ私が後ろを向かなくてはならないのだ?)
後宮のものはすべて王のもの。王が入れぬ場所などない。控えるべきは常に周囲のほうで、彼は泰然自若に振舞っていればよかった。
なのになぜ、こんな--まるで普通の男のように振舞っているのだろう、この私が。
そう思うとなんだかおかしかった。
不快ではなかった。
胸の奥がくすぐったいような、不思議な気分だった。

おしまい☆



元気な舞姫ネタにウケてくださったたる様に捧げます☆
お母さん、中身はほとんど夕鈴になってしまいました(^^;)名前は歴史上の美女からとりました。
この後はたぶん、最初はお話するだけの仲なんだけど、そのうち相思相愛の仲になっちゃうんだろうな。
舞姫の立場が”いかがわしい女”なのか、あるいは柳家に連なる貴族の娘がつとめるようなそれなりの立場なのか、よくわからないんですが。どっちもありなのかな??
なんとなく考えたその後の話:父王と正妃は昔は仲睦まじかったが、子どもが戦死して以来うまくいってない。飛燕の子(黎翔)を正妃の養子にという話が出て、一介の舞姫の子でなく正妃の子となると一気に王位継承順位が上がるので、黎翔は頻繁に命を狙われるようになる。


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