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兎女王シリーズ(by深見)

美しい罠 3

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「貴方にお会いできてよかった・・・きっと神様のお導きですわ!」
(よし!)
女王との距離が一気に縮まったのを、王子は感じた。
彼女はすっかり心を許したように、打ち明けてきた。
「実はうまくいかない問題を抱えておりまして・・・皆はあきらめろと言うのですけれど・・・」と悩ましいため息。
なるほど、夫婦生活がうまくいってないのか、と王子は理解した。
女王の夫は狼将軍と怖れられる男だという。どうせ戦だけが得意な、野蛮な人間なのだろう。
こんな可憐な乙女がそんな夫に縛られているなんて、嘆かわしい限りだ。
彼女が他の男に愛を求めたとて、どうして責められよう?
「貴女があきらめるなど・・・そのような必要はありません、陛下。私が参りましたからには」
「心強いお言葉ですわ・・・」
女王は期待を込めたまなざしで、彼を見つめてきた。
「・・・貴方はきっと、花を美しく咲かせたり、豊かな実を結ばせたりするのもお上手なのでしょうね(あ、甘藷は実じゃなくて根?)」
これには、聞いている王子のほうが赤くなりそうだった。
彼の頭の中では、花=女性、実=子どもという図式が成り立っていたのだ。思わず、自分の腕の中で美しく咲き乱れる彼女の姿を妄想してしまった。
(純真そうな顔をして、ずいぶんと直接的な誘いを・・・)
まだ日は高い。そして野外である。かわいらしい顔は、とてもそんなことを考えているようには見えないのだが。
いや、待てよ--
彼は女王に関するある噂を思い出した。
選りすぐりの美男をはべらせ、愉しみの限りを尽くしていると。なんでもお相手をつとめた男の評価を記した覚え書きまであるのだという。<実際は名前を覚えるためのただのメモである。参照:「浴を賜る黎翔」。しかし王子は知る由もない。>
あまたの男たちと比べられるのかと思うと、王子は奮い立った。
(俺だって自信はある。だが自慢する男ほど実際はたいしたことないなどと言うからな。俺が遊び人だという噂を耳にしているのだろうか。一体どんな噂が届いているのだろう)
「さあ、どうですか・・・」彼はどちらともつかない謎めいた態度をとることにした。
「ご謙遜なさらないで」女王はにっこりと笑った。
(か、かわいい・・・)
一瞬、彼女が女王だということを完全に忘れてしまった。
ごくん、と王子ののどが唾を飲み込んで動いた。
「他でもない陛下のご所望とあらば、誠心誠意、尽くしてご覧に入れます」
「ええ、ぜひお願いします!」
そこで彼は女王を抱き寄せようとしたのだが。
すかっ。
彼の腕は空を掻いただけだった。
女王はすたすたと歩いていた。
「これをご覧下さい」
「は?」
女王が指差したのは、紫がかった白い花だった。いくつかは花ひらいていたが、そのほとんどはしおれていた。
「あの・・・これが何か?」意表を突かれた王子は、思わず気の抜けた声になった。
「ああ・・・おわかりにならないのですね」女王は落胆した表情になった。
「いえ、そういうわけではありませんが・・・」
彼はとっさに取り繕い、必死に頭を回転させた。この何の変哲もない花に、何の意味があるのだろうか。いったい何のなぞかけなのか・・・。
「無理なさらないで。仕方ありません、このような有様では」
「仰せの通りですね。その・・・あまりよろしくないようですね」と彼は調子を合わせた。
「そこで貴方のお力をお借りしたいのです」
女王の澄んだ瞳がまっすぐに彼を見つめてきた。
「貴方の国からいただいた甘藷なのですけれど・・・ご覧の通りです。肝心の芋も小さくて苦いのです。白陽国の風土には合わないのだと庭師が申します。けれど私はあきらめたくないのです」
若き女王の瞳は燃えていた。
「なんとかこの甘藷を白陽国でも栽培できるようにして、栄養があって美味しくて安価な芋を、庶民が口にできるようにしたいのです!」
力強く言い切った口調には、断固たる決意が感じられた。
王子は、彼女の迫力に気圧された。
(この方は・・・!)
なんと篤く民を思われる方なのか、とうっかり感動してしまった王子。
もしかしたら--
目の前にいるこの乙女は、傀儡などではなく、真にこの国の女王なのではないか。
そんな思いがふっと降りてきた。
同時に、なぜか少年だったころの自分を思い出した。
そうだ、俺だってもっと己を磨いて、大きなことを成し遂げたいという夢があったはずなのに。権力闘争に明け暮れている王宮で暮らしているうちに、いつしか忘れてしまっていた。
若き女王の揺るぎない信念は、人の心を動かす力があった。
王子は泥酔いから覚めたような清清しい感覚に包まれた。
彼は大きく息を吐いた。そして真摯に女王に向き直った。
「・・・御意に。陛下のお望みとあらば、必要なものは何でも取り寄せましょう。種芋でも、栽培者でも」
「ありがとうございます!」
女王はぱあっと晴れやかな笑顔を浮かべた。
もはや毒気を抜かれてしまった王子の目にも、その笑顔はたいそう美しく映った。気が付くと、つられるようにして彼も微笑んでいた。儀礼からではなく、心からの自然な笑みがこぼれていた。
「・・・陛下は民のことばかりお考えなのですか」
「? だって、女王ですもの」女王はなぜこんな当たり前のことを聞くのだろう、といわんばかりに、不思議そうな顔をした。
その純粋なまなざしが、彼の胸を打つ。
「ご自分の幸せのことは、お考えにはならないのですか」
「? 私は十分幸せですけれど」彼女は小首をかしげて、きょとんとして答えた。
そのいたいけな表情が、彼の胸を締め付けた。
ああ、このあわれな乙女に、愛し愛される真の喜びを教えて差し上げたい・・・!
それにこの俺も、この人のそばにいられたら、今よりもっと高級な人間になれる気がする・・・。
「陛下・・・」
彼が女王の手を取ろうとした、そのとき。無遠慮な男の声が割り込んだ。
「陛下。こちらにいらしたのですか」
声のするほうを振り向くと、若い武官が立っていた。
「黎翔!早かったのね」
女王は王子の脇を軽やかにすり抜けて、武官のもとへ駆け寄った。彼は軽々と女王を抱きかかえた。
ただの衛兵にしてはなれなれしすぎる。女王の愛人か?
男が戯れようとするのを、女王はあわてて止めた。
「黎翔、ちょっと・・・お客様がいらっしゃるから。降ろしてちょうだい」
「御意に」
あぜんとしている王子に向かって、女王は紹介した。
「殿下。私の夫、珀黎翔将軍です」
王子は耳を疑った。
「珀将軍とおっしゃいますと、数々の武勲で名高い、あの珀将軍で・・・?」
「狼将軍の呼び名のほうが、あるいは通じるかもしれませんが」男は口元だけで笑った。
(うそだろーーっ!!)
王子はなんとなく熊のようなむくつけき輩を想像していたのだが。実際の珀将軍は、想像していたのとはまるで違っていた。
均整の取れた長身に、端正な顔立ち。優男というには目が鋭すぎる。一見、冷たそうにも見えるがそれがかえって女に騒がれそうな、口惜しくなるほどいい男だった。
将軍は王子に向かって骨の髄まで凍り付きそうな冷ややかな一瞥をくれた後、女王にたずねた。
「陛下はこちらで何をなさっていたのですか」
「黄土国の殿下に、ご相談していたの」甘藷のことで、と女王は小さな声で付け足した。
将軍は眉をひそめた。
「そのようなことを・・・何も女王御自ら、こんなところでこそこそとなさらずとも」
「だって・・・黎翔だって笑ってたじゃない、甘藷が私の好物だって知ったとき」女王の威厳はどこへやら、彼女は悪戯を見つかった子どものように言い訳した。
「そうだったか?」
「そうよ!」
夫婦間のらちもない言い争いに遭遇してしまった第三者は、一体どうすればいいのか。王子は退出する前に、精一杯取り繕って言った。
「では、陛下。例の件はお任せください。早速手配いたしますので、私はこれで」



庭には夕鈴と黎翔が残された。
黎翔は苦々しくつぶやいた。
「なぜ黄土国の王子がこんなところに?」
「お庭を案内していたの。あの方は園芸が趣味で、とても興味があるんですって」
黎翔は王子の風体を思い出した。風流人士といえば聞こえはよいが、いかにも遊び好きなように見えた。彼が土いじりに精を出しているところは想像しにくかった。
「・・・そういうふうには見えなかったが」
「そう?でもとても熱心な方なのよ。白陽国の花の噂を聞いて、それを見るためにわざわざいらしたぐらいだから」
「--花を?」
「ええ。白陽国の後宮に咲く一輪の花--とても美しくて、大変貴重なものなんですって。ここにそんな花があるなんて、全然知らなかったわ。どれがそうなのか、後で教えてもらわなきゃ」
状況が読めた黎翔は、こらえきれずに吹き出した。
おおかた、花にかこつけて夕鈴に口説き文句を浴びせたのだろうが、夕鈴には全く通じなかったというわけだ。
「・・・黎翔?」
彼が笑っている理由がわからないのだろう、夕鈴は不思議そうな顔をしていた。
なんとか笑い収めた彼は、そんな夕鈴の顔を見て、再び顔がほころぶのを感じた。
「その花なら、私も知っている」
「そうなの?」
「ああ。とてもよく知っているよ・・・」
黎翔は彼女の華奢なあごをとらえた。
察した夕鈴は、一瞬固くなったが、ぎこちなく目を閉じた。
しかしまぶたがまだ強張っている。
やれやれ、一体いつになったら慣れてくれるのだろうか・・・と彼はおかしくなった。
彼女の内心の動揺が、なめらかな頬をうっすらと色づかせていた。
長いまつげは伏せられて、おとなしく彼の為すことを待っている。
確かに、美しい。
だがこれは、私一人のためだけに咲く花だ。
他の誰にも触れさせるものか--
何も起きなくて怪訝に思ったのか、夕鈴がそろそろと目を開けた。
彼はでき得る限りやさしく笑いかけた。
そして、桜色の唇に、そっと口付けた。



~終~



夕鈴のスルースキルは最強ですからね♪
王子の名前は青木昆陽から取りました。ちゃらちゃらしてるんだけど、それだけじゃないっていうキャラのつもりだったんですが・・・ちゃらちゃらしてるだけになっちゃったなあ(^^;)無駄に美形なのは、ブ男が夕鈴に絡むのは許せないから。



☆おまけ ~王子と側近の会話~

王子が戻ってくるのを待ちかねていた側近は、早速たずねた。
「いかがでしたか、殿下。女王との会談は」
「あー、ありゃだめだ」
「何ですって?ま、まさか何か不埒なまねをなさったのでは・・・」
「違う違う。女王は今の夫、珀将軍に夢中だ。縁談を進めるのであれば、将軍に対する寵に陰りが見えてからのほうが良かろうと--父上にはそう申し上げてくれ」
側近はじと~っと疑いのまなざしを向けた。
「・・・殿下がまだ遊んでいたくてそうおっしゃるのでは?」
「あはは、ばれたか」
王子はいつものように明るく笑ったかと思うと、ふっと真面目な表情になった。
「愛だの恋だのはいずれ醒める。・・・それからでも遅くはあるまい?」
「殿下・・・」
王子の生母は一時期国王の寵愛を独占した絶世の美女である。それだけに国王の寵を失ってからの環境の変化はひどかった。その渦中で育った王子の言葉には、いいようのない重みがあった。
「あ、そうだ」
側近のしみじみした思いは、王子ののんきな声に中断された。
「実は、この国の甘藷栽培を支援する約束をしてしまったんだが・・・」
「ええ!?なんでまたそんな勝手なことをなさるんですか」
「まあ、その・・・話の流れというやつだな」
側近はため息をついた。
「はー・・・やはり殿下をお連れするのではありませんでした・・・」

おしまい☆

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