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 ←慎様よりイラスト 甘く切なく艶やかな夕鈴 →◆◆1 たまには、こんな夜
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短編

隠さなきゃ(慎様のイラストつき)

 ←慎様よりイラスト 甘く切なく艶やかな夕鈴 →◆◆1 たまには、こんな夜
夕鈴はまだ臨時妃の設定です。



深夜、王宮の一室。
王の手元だけが明るく照らされていた。彼は書類に目を通しながら問うた。
「では、情報が漏洩していると?」
「はい」
背後に控えているのは、浩大とは別の、国王直属の隠密のひとり。
「鼠をあぶりだすまで文書は使えません。彼らの報告は例の方法で行いたいと存じます」
「というと、アレか・・・」王は気が進まないふうにつぶやいた。
「陛下?何か不都合でも?」
「いや、何でもない。--それで、いつになる」



「お妃様。今度の観劇の際のお召し物ですけれど、こちらでよろしいでしょうか」
夕鈴に、侍女が衣装を持ってたずねてきた。目にも鮮やかな緑の絹に金糸の刺繍をちりばめた、華やかなものである。
「観劇?そんな予定あったかしら?」
「ええ、話題の旅芸人の一座が宮中に呼ばれるという・・・お妃様、お忘れでしたか?」
「いえ、えっと・・・そう、そうだったわね」
夕鈴はまったく覚えがなかったのだが、適当に合わせて様子を見ることにした。夕鈴の一言が思いもよらない事態を招きかねない後宮では、どうしても言動は慎重になる。
「噂では、蒼玉国でも人気を博した一座ですって」と侍女は笑顔で続けた。
「まあ、蒼玉国でも?」ともう一人の侍女が声を弾ませる。
蒼玉国といえば、流行の発信地。そこで好評だったということは、面白さには折り紙付きということだ。
侍女たちはとても楽しそうだった。後宮で働いている者のうち、高位の女官は気軽に外へは出られない。そんな彼女たちには楽しみなイベントなのだろう。
「それは楽しみね」
夕鈴は調子を合わせながら、ふと不審に思った。
いつもなら、こういう夕鈴が喜びそうなことは、まず一番に陛下から聞かされるのに・・・?
きっと侍女たちもそう考えているのだろうけれど。
夕鈴はまったく知らされていなかった。

その日の午後、陛下とお茶を楽しんでいるときに、夕鈴は聞いてみた。
「陛下。今度、旅芸人の一座が宮中に来るんですってね」
「えっ。ああ・・・アレね。なんだかそういうことになっちゃってね。そんなに面白くないと思うけど」陛下は意外な答えを返してきた。
「そうなんですか?」
「うん。だから、ささっと終わらせようと思ってたんだけど。・・・夕鈴は見たいの?」
「えっと・・・」
「どーしても、見たい?」
「・・・・・・」
夕鈴は無理を言うつもりはなかったのだが。
侍女たちは楽しみにしているようだったし。夕鈴がいなければ彼女たちも見られないだろう。
夕鈴は迷った末に、思い切ってちょっとわがままを言ってみることにした。
「はい。とっても面白いって評判だそうですし・・・」
慣れないわがままを言うと、おどおどしがちになってしまう。ついうつむきたくなるところを、夕鈴はがんばって目を上げた。
「・・・やっぱり、だめでしょうか?」
陛下はまばたきをして、仕方ないなあ、というふうに苦笑した。
「いいよ。でも、あまり面白くなくても、がっかりしないでね?」
「しません!」
陛下のOKが出ると、心が弾んだ。本音ではやっぱり私も見たかったのかしら、と思った。
「そうだ、陛下!どうせなら、皆で観られるようにしませんか?」
「皆って?」
「執務室の皆とか、女官の人たちにも。皆きっと楽しんでくれますよ!」
もともとイベント好きの夕鈴である。かつ倹約志向でもあれば、少人数だけで楽しむのはもったいない→皆で楽しもう!という結論に達するのは時間の問題だった。
「んー・・・」
陛下は何かを考えるような鋭い目つきになったが、それはほんの一瞬のことだった。すぐにいつものようににこっと笑顔を浮かべた。
「そうだね。それも面白いかもしれないな」
「はい!ありがとうございます!」
わくわくしていた夕鈴は、陛下の含みのある言動には気付かなかった。



旅芸人の一座は、王都入りする前の一夜を人里離れた野原で過ごしていた。
焚き火を囲んだ食事は和やかに過ぎていった。
やがて、一座の長らしき男が皆に告げた。
「今度の”公演”は大掛かりなことになりそうだ。陛下は、政務室の官吏らと主だった女官たちも集めて観させるおつもりのようだ」
一同の間に軽い緊張が走った。
「なるほど。内通者をあぶりだすために、わざと見せるのか。・・・しかし政務室の官吏と女官といえば、最も陛下のお側近くにお仕えする者たちだろう?」
「身近な者でも容赦なし、か。相変わらずおっかないねえ、狼陛下は・・・」
「でも、あれを解読できる人がいるのかしらね」
「解読されないならされないでよし。解読されても、鼠が見つかる。どちらに転んでも損はない」
男は焚き火に薪をくべた。
皆が押し黙っている中、ぱちん、と火が音を立てた。



いよいよ観劇の当日。
開演場所に案内される途中、夕鈴は官吏たちの姿を認めた。
「水月さん!方淵殿も」
「これはお妃様。とてもよくお似合いですね」
夕鈴の普段よりも気合の入った格好に、水月はにっこりと笑った。衣装好きで美少女の妹に慣れているのか、彼の台詞は嫌味がなくとても自然だった。
「水月さんもご覧になるんですか?」
「ええ。市井の流行歌などもなかなか面白いものですからね」
「まったく・・・そのような下らぬことに割く時間があったら、他にやるべきことがあるだろうに」気が進まないのに連れて来られたといったふうな方淵は、ぶつぶつと文句を言う。
「方淵、君はそう言うけれど、市井の戯れ歌には政や貴族への批判が含まれていることもあるからね。むげにはできないと思うよ」
「陛下の御前でそのようなものが披露されるわけあるまい」
これから観劇をするとは思えない険悪なムードの二人。
夕鈴はあわてて割って入った。
「水月さんの言うとおりですよ、それにほら、ああいう旅芸人さんって、諸国のニュースとかも教えてくれるから、意外と勉強にもなるんですって」
というのは官吏登用試験勉強中の青慎の受け売りだが。
「おや、お妃様はよくご存じですね」と水月。
「ええ、まあ・・・」
あまり話していると素性がばれそうなので、夕鈴はそそくさと入室することにした。
王宮の一室には大勢の人が集まってにぎやかだった。昼間だというのに宴のようである。
女官だけではなく、侍官や政務室の若手の姿もあった。
夕鈴が入っていくと、人々のざわめきがふっと静まった。
(うう・・・注目されてる・・・)
夕鈴は思わず駆け出したくなったが、妃としてそれは許されない。
しずしずと歩き、ようやく陛下のところまでたどり着いたとき、ほっとした。
「待ちかねたぞ。我が花よ」陛下は満足げに微笑んだ。
「・・・遅れまして、申し訳ありません」
陛下は豪華な毛皮を身にまとっていた。
その隣りに、夕鈴はちょこんと座った。

最初の演目は若い男女の恋愛もの。庶民の若者と貴族の令嬢の身分違いの恋が、若者が官吏登用試験に無事受かってハッピーエンドになる話だった。
次の演目は舞姫による踊りだった。
芝居では深窓の令嬢を演じていた女優が、舞姫の衣装と化粧を変えただけでがらりと別人のように変わっていた。
(ふわー。女優さんってスゴイ)
後宮にも美女は多いが、それとはまた違った種類の美貌だった。純粋に美しいだけではなく、華がある。
芝居のほうは古典だったが、舞のほうは新曲のようだ。耳に馴染みのない不思議な感じのする音曲だった。
何気なく陛下のほうを見ると、陛下はじっと見入っていた。
(え・・・?)
夕鈴はなぜか胸騒ぎを覚えた。
陛下のまなざしは強い光を宿しているようにも見えて。
陛下のそんな顔を見るのは初めてだった。

ふっと曲調が変わって、なにやら妖艶なムードになった。
舞姫は曲に合わせて踊る。己の美貌と魅惑的な肢体を誇示するようなポーズが続く。それは明らかに、陛下に向けられたもの--舞という名の誘惑だった。
陛下はといえば--
それまではどちらかといえば真剣な表情をしていたのが、やわらかく崩れていた。
ふ・・・、と微笑みを浮かべていた。
それは口元だけではない微笑みだった。目も楽しそうに笑っていた。
夕鈴は自分の目を疑った。
今までどんな美人に囲まれても、顔色ひとつ変えなかった陛下が。
『妃以外はどれも皆似たようなものだが』と言ってくれた陛下が。
(ううーー、そりゃ美人だけど!セクシーだけど!でもでもでもーーっっ!!)
夕鈴がぎゅっと目をつぶっているうちに、曲は終わってしまった。

一座の主が挨拶をする。
「お気に召していただけましたでしょうか。いささかなりとも陛下のお慰めになれば、これに過ぎたる喜びはございませぬが・・・」
「大変結構だった。褒美を遣わそう」
いつのまにか陛下の手元には、宝飾品のたぐいが用意されていた。
陛下は髪飾りを取って、舞姫の髪に挿した。
「ご苦労だった」
ねぎらいの言葉には、型どおりではない心情がこもっているように聞こえた。
髪飾りは、夕鈴が贈られたもののほうがはるかに豪華ではあったけれど。
陛下が直接、髪に挿したという事実に、夕鈴はショックを受けた。
(私にはあんなこと、してくれなかったのに・・・!)
呆然と見守っていると、舞姫と視線が合った。
彼女はくすっと笑って、袖で口元を隠した。
それは、いかにも己の優越を誇っているようにも見えて。

それからどうやってその部屋を出たのか、夕鈴は覚えていない。

「夕鈴」
背後から陛下の声がした。
気が付くと、夕鈴は回廊の柱に身をもたせかけるようにして立っていた。
「具合でも悪いのか」ずいっと陛下が寄ってくる。
夕鈴はぱっと柱から離れた。壁や柱に挟まれたら逃げ場がない。
「大丈夫です!どうぞご心配なく」
「愛しい妃が憂い顔をしているというのに、心配せずにいられるものか」

すねる夕鈴

(愛しいって・・・どの口が言ってるのよ、デレデレしてたくせに!)
手を取られて、夕鈴はますますかっとなった。
「私のことなんか放っておいてください!陛下はあの舞姫さんと一緒にお酒でも飲んでればいいじゃないですかっ」
「?何の話だ?」
「いいです、言い訳しなくていいですから!」
そのとき、こほん、と控えめな咳払いが聞こえた。
十分に距離を取ったところに、水月が控えていた。
「水月。何用だ」
陛下に言葉をかけられ、彼はすっと近づいてきた。
「おそれながら申し上げます。陛下がお妃様を外の風にも当たらぬよう大切に慈しんでおられるのは、存じておりますが・・」
水月はそこでいったん言葉を切った。
「・・・こたびばかりは、事実をお知らせしたほうがよろしいのではないでしょうか」
「ほう・・・お前は何もかも承知しているというのか」
狼陛下の紅い目が鋭い光を宿す。しかし水月は引かなかった。
「はい、だいたいのところは。妙な旋律だと思いまして・・・ですが尋常の耳ではまずわからないでしょう。暗号を変えられる必要はないかと存じますが」
「あんごう?」夕鈴は思わず聞き返した。
そこで初めて、水月は視線を上げた。陛下はしぶしぶといったふうにうなずいた。
水月は夕鈴に向き直った。
「お妃様。先ほどの舞曲は一種の暗号のようなものです。であれば、陛下のご下賜もなんらかの符号かと。陛下は左手で、わざわざ右から簪を挿されました。暗号の内容と考え合わせれば、おそらく右は東を意味し・・・」
「水月。そこまで」陛下の声が割って入った。
「御意に」
水月は肩の荷を降ろしたというふうに、緊張を解いた。彼は最後に夕鈴に向かって微笑んでみせて、去っていった。

残されたのは、陛下と夕鈴のふたり。
「陛下・・・水月さんの話、本当なんですか?」
「ああ。耳聡い奴だ」狼陛下は苦々しげにつぶやいた。
「でも、あの人たちは旅芸人ですよね?」
「表向きはな。旅芸人なら諸国をまわっていても怪しまれなくて済む。そうやって諸国の情報を集めて私に報告するのが彼らの任務なんだ」 陛下は早く終わりにしたいというふうに、口早に答えた。
「・・・そうだったんですか。前もって私にも教えてくれれば、変に誤解・・・いえ、あわてなくても済んだのに」
陛下は叱られた小犬のようにしゅんとなった。
「ごめんね。夕鈴には純粋に楽しんで欲しくて・・・わざわざ知らせることもないかと思って」
夕鈴はぐっと詰まった。
それもそうよね。
仮の妃には、そんなこと教えても仕方ないわよね。
私だけが変にあたふたしたり、怒ったり、誤解したり。
・・・ホント、馬鹿みたい・・・。
黙り込んでしまった夕鈴に、陛下は一生懸命に弁解を続けた。
「ふだんは文書でやりとりするんだけど、今回はちょっと・・・支障があったみたいで。いつもはあんなやり方しないよ、今回は特別だよ?」
夕鈴は気持ちを切り替えようと、口をひらいた。
「その・・・聞いちゃいけないことだったら、教えてくれなくてもいいですけど。暗号って、どんな内容だったんですか?」
陛下はほっとしたように微笑んだ。
「だいたい各国の情勢とかだけど。そうそう、狼陛下は妃に夢中という評判は津々浦々まで広まっているってさ」
「は?な、なんですかソレーー!!」夕鈴は真っ赤になって叫んだ。
「あの狼陛下がたぶらかされたんだから、どんなに妖艶な美女だろう、ってみんな噂しているらしいよ。最後のほうのおまけで、なんかそんなコト言ってた」
陛下はくすくすと笑った。
夕鈴は呆然となった。
「最後のほうのおまけって・・・あの、あれですか?すごく色っぽい・・・」
うん、とあっさり陛下は肯定した。
(じゃあ、あの舞は・・・最後のほうの、陛下を誘惑するようなのは、私を表しているってコト!?私、あんなふうに噂されてるの!?)
ぐるぐると思いが錯綜して、夕鈴は目が回りそうになった。
「噂なんて当てにならないね。僕の夕鈴は、ただそこにいるだけで、こんなに可愛いのに・・・」彼は夕鈴の頬にそっと手を添えた。
「陛下・・・」思わず声が上ずってしまう。
「でも当たってるところもある。妃に夢中ってところ。ね?」陛下はにっこりと笑った。
「・・・・・・」
陛下の笑顔はまぶしすぎた--許されない恋心を胸に秘めている身には。
まぶしすぎて、目を合わせていられなくて、夕鈴はくるりと背を向けた。
「そ、そうですね。私が仮の妃としてちゃんとお役目を果たせているようで、よかったです」
「夕鈴・・・まだ怒ってる?」
「怒ってなんかいません。よかった、って言ってるんです」
いつもは気持ちを抑えているのに--いや、いつも抑えている分、何かの拍子で気持ちがあふれそうになると、どうしたらいいのかわからない。
うっかり気を緩めると涙が出そうだった。
この気持ちに気づかれるぐらいなら、怒っていると思われていたほうが、ずっといい。
夕鈴は背を向けたまま、怒っているふりを続けることにした。



ぷりぷりと怒っているらしい夕鈴の背中を見ながら、彼はため息を漏らした。
・・・夕鈴は本当に仕事熱心だなあ。
僕が舞姫に関心を持ったと言って怒るのも、せっかくの夫婦演技が台無しになるのをおそれてのことなんだろうけど。
それが、やきもちをやいてくれてるんだったら、うれしいのに・・・。
彼は内心を押し隠し、大胆な手つきで後ろから愛しい少女を抱きしめた。
「へ、へーかっ!?」
「夕鈴・・・私の妃は君だけだ」
夕鈴の兎の耳のような可愛らしく結った髪に、彼はそっと口付けた。そこならば口付けても夕鈴にはわからないだろうと。
髪油の芳香がした。香油を吸ってしっとりとした髪は、彼の唇をしなやかに受け止めた。
こんなふうに夕鈴も受け止めてくれたら・・・、とつい腕に力が入った。
衣越しに夕鈴の、やわらかな肌の下の華奢な骨格まで感じ取れた。
「陛下、あの・・・」
「ん?」
「ふ、ふたりっきりのときにまで演技するの、やめてくだ、さい」
夕鈴の声も体も細かく震えていた。
少し調子に乗ってやりすぎたか、とひやりとする。
「ごめんごめん、ちょっと強すぎたかな」彼はのんきな調子を装いながら、手を離した。
「もー、ホントですよ!陛下、すごい力強いんですから!少し加減してください!」夕鈴は真っ赤になって二の腕をさすりながら、彼に抗議してきた。
「ごめんね、今度から気をつけるから」
「今度って・・・またあるんですか!?」
「えー?だってこういう演技が必要になるときもあるでしょ?」
「そっ・・・それはそうかもしれませんけど・・・」
しどろもどろになりつつ、一生懸命言い返そうとする夕鈴がかわいい。
そんな顔をされると、また抱きしめたくなっちゃうんだけどなあ、と思いつつ、さすがにそこは我慢することにした。



旅芸人の一座--その正体は諸国をまわって情報収集をする国王直属の諜報機関--は王宮の一角を控え室として使うことを許されていた。
舞姫の衣装を着替えた娘は、きゃらきゃらと遠慮なく笑い転げた。
「浩大の言ってた通りだったわー、あの陛下がどんな顔してあのお妃様のお相手してるのかと思うと!」
立ち回りを得意とする体格のよい若者は、小道具の手入れをしながらつぶやいた。
「陛下にああいうご趣味がおありだとは、意外だったな・・・」
主人公を演じた美青年は、台本をぱらぱらとめくりながらたずねた。
「座長、どーすんの?新しい企画の、ほら、狼陛下のお妃様のお話。あちこちで期待されてるから、やらないわけにはいかないし。妖艶な美女路線で行くんですか?」
「うーむ、それなんだが、面白い書物を手に入れてな。なんでも貴族のご婦人方の間で大流行しているそうなんだが。これを芝居にしたら、大当たり間違いなしだ」
座長の手にあるのは--そう、『ある王国の王と妃の出会いの物語』。



王宮の屋根の上には、細い三日月が浮かんでいた。
王はいつものように私室で書類仕事をしていた。
「ここ二、三日見張っておりましたが、王宮には鼠は見つかりませんでした。また東のほうにも動きはありません」隠密は手短に報告した。
「そうか。”面白いもの”は見られなかったな」
白陽国を背負う若き国王は静かに微笑んだ。
仕掛けた罠が不発に終わっても、笑みを浮かべる余裕は、狼陛下の名にふさわしいもののように見えた。
だが、信頼すべき者たちの中から裏切り者が出なかったことに、安堵しているようにも見えた。



~終~



慎様のリク「嫉妬して拗ねる夕鈴とそれを宥める陛下のお話」を書こうとして、「嫉妬するんだけど、実は××でした~!」というオチを用意しなきゃなー、とあれこれ考えてたら、話があらぬ方向へ。ちゃんとしたストーリー(一応)のある話は久しぶりだなあ。ここんとこ事後のふにゃふにゃ夕鈴ばっか書いてたから(^^;)なもんで、まとまりがない話になっちゃったかも。すみません。


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