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短編

寵愛のしるし

 ←【一言】夕鈴の顔 →【一言】陛下のファーストキス
健全部屋に置いていいのかちょっとグレーゾーン??でもクロではないと思う。かといって真っ白でもありませんが(^^;)
おばかな小ネタです。



王は侍女たちを下がらせた。
妃の部屋には、王と妃のふたりっきり。
黙っているとなんだか決まり悪くて、夕鈴は口をひらいた。
「すみません、陛下。私、今までにしたことなくて・・・」
「謝ることなんかないよ。夕鈴は今まで機会がなかっただけだよ・・・ね?」小犬陛下はにっこりと笑った。
「あ・・・はい」
やさしい笑顔に、夕鈴はほっとして、こくんとうなずいた。
「今までは、私にはずっと縁のないものだと思ってましたから・・・」
「どうして?夕鈴、かわいいのに」
陛下はそっと夕鈴の頬に手を沿わせた。
ああ、いよいよ--と思い、つい肩に力が入る夕鈴。
それを見た陛下は苦笑した。
「夕鈴、そんなに無理しなくていいんだよ。今すぐじゃなくても、いつかでいいんだから」
「いいえ、私は・・・今がいいです」
「夕鈴・・・」陛下はかるく目を見開いた。
そのとき夕鈴は、恥ずかしさより必死さのほうが上回っていた。陛下から目をそらさず、ひたと見すえて訴えた。
「今しないと、ずっとできなくなってしまいそう・・・」
夕鈴の真摯な訴えに、彼も真面目な表情で、わかった、とこたえた。

ちらっとそれが視界の隅に入り、夕鈴は思わずたずねてしまった。
「そ、そんな太いのを・・・?」
「んー、太いかなあ。こんなものじゃない?」
「そ、そうですか・・・」夕鈴は血の気が引く思いがした。
すると、陛下は少し困ったような顔をした。
「夕鈴、そんなに強張らないで。最初は痛いかもしれないけれど、すぐになんともなくなるから。大丈夫だよ」
「血も出ますか?」
「うん。少しね・・・」
彼はそれを手にとって、目的の場所にあてがった。
その先端の感触に、夕鈴は息を飲んだ。
「行くよ、夕鈴」
「はい」
ぐ、と押される感触があった。



彼は、一仕事終えた安堵のため息をついた。
「夕鈴・・・まだ痛い?」
「少し、うずくような・・・。でも大丈夫です。陛下の言う通り、本当に痛いのは一瞬ですね」
「そう?よかった」彼は裁縫用とは明らかに違う太い針をぬぐいながら言った。
「わざわざ陛下に耳に穴を開けてもらうなんて、お手をわずらわせてすみません」
「いいよ。だって僕が贈った耳飾りを着けるためでしょ?」
質素倹約がモットーの夕鈴は、宝飾品のたぐいはあまり持っていなかった。特に、耳に穴を開けなくてはならなくて、かつ落としてしまいそうな耳飾りはまったく縁がなく、したがって耳に穴も開けていなかったのである。
陛下は話しながら、夕鈴の両耳に穴を開けた後の処置を手際よく済ませた。
夕鈴の耳には、小さな金の耳飾り。金の輪だけの、ごくシンプルなものである。当初陛下から贈られた豪華なものは初めてするのには向かないという侍女の助言によって、急遽用意されたものである。
陛下は少ししゅんとした顔になった。
「・・・ごめんね。なんか無理させちゃったみたいで」
「いいえ、私が開けたかったから、いいんです。それに、これも妃の仕事ですから!」
元気に宣言した夕鈴に、陛下は微笑んだ--艶然と。
「では、君が私の贈り物を身に着けてくれる日を楽しみに待っているとしよう」
顔の輪郭に手を添えられ、耳の下のあたりから、そっとなぞられた。
「・・・はい、陛下・・・」夕鈴はどきどきしながら、うつむきがちに答えた。



数日後、傷が癒えた夕鈴は、陛下から贈られた耳飾りを着けてみた。
金に赤瑪瑙をあしらった華やかなものである。
こんなものかしら?と小首を傾げたら、鏡の中の耳飾りが揺れた。
「まあ・・・素敵ですわ、お妃様!」
「陛下お手ずから穴を開けられたお耳に、よくお似合いです」
「ええ、本当に・・・」
侍女たちはくすくすと忍び笑いを漏らした。
先日、彼女は夕鈴の耳に穴を開けようとしたところ、通りかかった陛下に仕事を取り上げられてしまったのだった。
「寵妃に宝石を贈られるのはよくあることですけれど、国王御自ら処置までなさるなんて、ためしがありませんわ」
「たとえ耳飾りの穴であろうと、お妃様のお体に跡をつけてよいのはご自身のみ、ということなのでしょうか」
「陛下のご寵愛ぶりなら、無理もないですわね」
侍女たちの笑顔とうきうきした雰囲気に、夕鈴はいつものことながらいたたまれない思いがした。
視線を落として鏡の中の自分を見つめても、見慣れなくて落ち着かない。
それでも--
陛下は楽しみに待っている、って言ってくれたし!
自分にはやっぱり似合わないんじゃないかという不安にまとわりつかれながら、夕鈴はそのことだけにしがみついていた。
気持ちは男性から贈り物をもらった女性というより、王の命を遂行する家臣さながらである。
義務感で気持ちを奮い立たせていた夕鈴に、侍女が告げた。
「お妃様、陛下がお呼びです。陛下は李順様とお話し中だとか」
夕鈴は息を呑んだ。
陛下に見せるときが、ついに来たんだわ。
陛下はなんて言ってくれるかしら・・・?
化粧台の前に座っていた夕鈴は、どきどきしながら立ち上がった。

~終~



第3話の「自分が贈った宝石を身に着けている夕鈴を見て、ご満悦の陛下」に続くイメージで書きました。
夕鈴は第3話で陛下のプレゼントを身に着けるまで、耳飾りをしているシーンがありません(扉絵は別として)。陛下にプレゼントをもらったから思い切って穴を開けたんだね!?と妄想が羽ばたきました(笑)夕鈴、初々しい感じだし♪
あの世界はイヤリングじゃなくてピアスだと思うんですけど、どうでしょう?

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