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 ←いただきもの 慎様より甘イラスト 着衣の陛下と →【一言】第3話突っ込み感想
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短編

兎の耳はなぜ長い?

 ←いただきもの 慎様より甘イラスト 着衣の陛下と →【一言】第3話突っ込み感想

本物夫婦でもないのに、陛下が妙に手が早い。一応健全。
イメージ的には「狼の毛皮をかぶって」に近いですが、これだけ読んでも大丈夫です。

◇ ◇



夕鈴は後宮の庭を散策していた。
ここのところ陛下は忙しくて、一緒に散歩をすることもない。
庭には、今を盛りと咲き誇っている花があふれていた。
このままお仕事が忙しかったら、この花を陛下と見ることはないのかしら。
陛下にも見せてあげたいな・・・。
そんなことを考えながら花を眺めていると、侍女が声をかけてきた。
「お気に召されましたか?よろしかったら、お妃様のお部屋に飾らせていただきますわ」
「ええ・・・ありがとう」
そこで夕鈴はふと思いついて、言葉をつないだ。
「ううん、やっぱりいいわ。ええと・・・お花だけ用意してもらえるかしら?」

しばらくの後。妃の部屋では夕鈴がはさみを片手に花と格闘していた。
お妃教育の一環で、花を生けることも少し習ったのだが、バランスよく綺麗に生けるのはなかなか難しい。
(うう・・・はさみと花より、包丁と野菜のほうが馴染んでいるんだけどなあ・・・)
とことん実用一点張りの夕鈴である。
でも、綺麗に咲いた花を陛下にも見て欲しくて。
できれば、自分の手で陛下のために何かしたくて。
(こんなの私の柄じゃないけど・・・でも、陛下は喜んでくれるかな・・・。最近お忙しいみたいだし、もしかしたらいらしてくれないかもしれないけれど・・・)
ふとさびしさにおそわれて、夕鈴はふるふると首を振った。
(だめ、後ろ向きなことは考えない!)
ぱちん、と切れ味のよい音を立てて、夕鈴は葉を落とした。



その夜、久しぶりに王は妃の部屋を訪れた。
「陛下、ご政務のほうは・・・?」
「ようやく一段落したんだ。それで君の顔が見たくなって」
陛下がお疲れのようなので、夕鈴は長椅子までお茶を運んだ。
「ん。おいし」
陛下はそう言って、飲み干した茶碗を夕鈴に手渡した。
「ゆーりんが淹れてくれるお茶はホントおいしいねえ」
にこにこしながら、隣に座った夕鈴の髪をいじってくる。

ふだんから、陛下は何かと夕鈴の髪で遊ぶのが好きだ。
それはたいてい、彼が緊張を解いてリラックスしているときで。
犬や猫が鞠や猫じゃらしで遊んでいるようなものなのかもしれない。
(私といて、くつろいでいてくれてる、ってコトよね・・・少しは役に立ってるのかな)
うれしくて、夕鈴の胸がとくん・・・と遠慮がちに鳴る。

「夕鈴は、今日は何してたの?」
「お庭の散歩をして、きれいな花があったので、それを生けて--そこに飾ってあるのなんですけど」
「へえ。--これか」
陛下はちら、と部屋を飾る花に目をやった。再び、夕鈴に視線を戻して言う。
「きれいだね」
「あ・・・ありが・・・恐れ入ります」
夕鈴の髪の毛をいじっていた彼は、その毛先ごと、手を口元に運んだ。
朱に黒を混ぜたような漆色の瞳が、じっと夕鈴を見つめてくる。
「とても・・・綺麗だ」
ちゅ・・・とごくわずかに音が聞こえたような気がして。
心臓が跳ねそうになった。
「そんなっ、あまりうまくできなくて・・・えっと、いちおうお妃教育で習ったんですけど、だめですね、私やっぱりそういうの苦手で」
「--己を卑下してはいけないと、言ったはずだが?」
(うわ、狼陛下!)
狼陛下はふん、と鼻で笑った。
「・・・妃教育などくだらぬ」
彼は、夕鈴の顔にかかる髪をふわっとかきあげた。
いつも脇に垂らしている房を、そっと耳の後ろに流された。
それはまるで、ふだんは見えないところまで、夕鈴の顔をよく見ようとするかのようで・・・。
どきん、と夕鈴の胸が高鳴った。
「君が私の妃だ。言ってもわからぬというのなら--その身に教えようか」
いえ、十分です!と言いたいのに。
声がかすれて、言葉にならない。
「夕鈴・・・」
長い髪の先に、そっと口づけて。
それからまた口付けた--今度は、先ほどよりも髪の根元に近いほうに。
彼はゆっくりと何度もそれを繰り返した。しなやかな獣が身繕いをするような優雅さで。
繰り返すたびに、口付けられる箇所が、どんどん上ってくる。
逆らおうと思えばできるはずだったのに、緊張しすぎなのか、体が動かない。
夕鈴は眼前の光景をどこかひとごとのように息を詰めて見守っていることしかできなかった。
耳元に、温かく湿った感触があった。
「あ・・・」
びくっと身を引いたところに、そのまま力を乗せられて。
動揺している隙に、視界が変わった。なぜか天井の模様が目に映った。
「夕鈴・・・」
整った顔立ちが、夕鈴を見下ろしていた。
陛下の顔は、もう間近で。長い前髪が夕鈴の額をくすぐった。
まるで催眠術にかけられたように、体が動かない。
「君のまぶたは閉じることを忘れてしまったのか?」
こめかみのあたりに、そっと口付けが下りてきた。
「あ・・・」
怖くて、思わず目を閉じてしまった。
彼がくすっと笑う声がした。
「・・・思い出したか?」
そっと目を開けると、先ほどよりは少し離れたところから、陛下が見ていた。
その目は、ふだん見慣れないものだった。小犬陛下でもなければ、皆の前で演技しているときの狼陛下でもない。
なぜだか怖いような--でも、引き込まれてしまいそうな目・・・。
不意に、陛下がうつむいて、顔が見えなくなった。
「--今日はもう遅いね。おやすみ」
にっこりとほほ笑みながら言ったときには、いつもの小犬陛下の顔に戻っていた。

彼が立ち去ってしばらくしてから。
(うーーーーっ)
夕鈴は髪をわしゃわしゃと掻き乱した。
それから、両耳をつかんで、ぎゅーっと思いっきりひっぱった。
痛くなるぐらい引っ張って、ぱっと手放す。
もう一回、ありったけの力をこめて、引きちぎれそうなぐらい、引っ張って、手放す。
痛みで耳がじんじんしてくるのがわかった。
(うう~~~~~っっ)
髪の中に手を突っ込んで、ぐしゃぐしゃと掻きまわす。

あの人に触れられたら心地いいと、思ってしまったら、だめ。
錯覚なんだから、そんなの。

髪をなぜる手。耳に触れた指。顔に触れた唇。
消えろ、今の感触、消えろ・・・!
早く消えて、早く忘れて--そうでなければ、私は・・・
「陛下の、ばかぁ・・・」
夕鈴は、独りつぶやいた。



妃の部屋から帰る道すがら、王は重いため息をついた。
彼に組み敷かれた夕鈴は、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
--あんな顔をさせたいわけじゃないのになあ・・・。

彼は足を止めて、天を仰いだ。
中庭から見える夜空の星は美しくきらめいていて。
彼の手からするりと逃げてしまった、美しい瞳を思い起こさせた。

たとえば--
この美しい夜空を見上げながら、綺麗だね、と言って。
そして彼女が微笑んでくれたら。
それでよかったのかもしれない。
--そうか、そうすればよかったのか・・・。

誰かの気を惹くために努力しなければならない、という状況は彼にとっては初めてのことだった。
一見七面倒くさく思えるそれを、意外と楽しんでいる自分に気付いて、彼はおかしくなった。

夜だとまた、おかしな気分になってしまいそうだから。
明日は時間を取って、昼間のうちに夕鈴を連れて庭の散策でもするか。

そう決めて、彼はまた歩き出した。

~終~



すみません。本物夫婦でもないのに勝手に進んじゃってます(^^;)
陛下ってゼロから口説くスキルは欠落してるんじゃないかなー、と。経験も。夕鈴のやきもちになぜ気付かない?と突っ込みたくなるような陛下を見ていると、特にそう思います。
その気のある相手を口説くようなの(前戯?)はお得意なのにね。
そんなちぐはぐな陛下に萌えますv



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