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短編

君にまどろむ

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◆注意!へたれ陛下注意報です。
未来設定・本物夫婦です。場所は寝所。でも健全(たぶん) 
陛下視点です。狼陛下が甘えます。




王と妃は夜の闇の中、夜具にくるまれて横たわっていた。
ふたりを隔てるものは何もなく、互いに心地よい疲れに包まれて。
彼は夕鈴を後ろから抱き締める形で、ふたりとも横向きで寝ていた。
そうやって顔は見えないまま、ぽつんぽつんととりとめのない会話を交わしていた。
会話が途切れたとき、夕鈴がほーっとため息をついた。
「陛下は、あったかいですねぇ・・・」
「そうか?」
「はい。背中がぽかぽかして、すごーく気持ちいいです」
あふぅ、と彼女があくびをする気配がした。
「眠いか」
「・・・すこし」
腕の中で、夕鈴が身じろぎするのが感じられた。
「陛下?」
「うん?」
「ちょっと、こちらに背を向けてくれますか」
本格的に眠る体勢を取りたいのだろうかと、彼は夕鈴から離れて、その願い通りにした。
すると、彼の首の下に、細腕がするっと入ってきた。
耳のすぐ近くで、んしょ、と声がした。
寝台が小さく揺れる気配がして。
彼の背中に、夕鈴がぴったりと張り付いてきた。
やわらかなふくらみがむにゅ、と惜しげもなく押し当てられる。
一瞬、どきりとしたが。
「陛下。あったかいですか?」
そうたずねてくる彼女の声色には、色気のかけらもなかった。
「・・・ああ」
まあ、わかっていたことなんだが、と少々の落胆を感じつつ、彼は答えた。
嘘は言ってない。確かに背中に彼女の体温が伝わってきて、温かい。
彼の背中は、殺気や悪意を感じ取ることには長けていた。
しかし、温かさを感じることは、これが初めてだったかもしれない。
そもそも誰かに背後を預けるようなこと自体、初めての経験なのだから。
それは居心地の良いような悪いような、不思議な感覚だった。

よかった、と夕鈴のうれしそうな声が、耳のすぐ後ろから聞こえてきた。
「私、陛下に抱っこされてて、とっても気持ちよかったから・・・陛下にもこの気持ちよさを味わってもらいたいなあ、なんて思って」
すみません、私じゃちょっと小さくて、ものたりないかもしれませんけど。
と彼女は付け加えた。

--夕鈴・・・。
君は、いつもそうだ。
いつも私に与えてくれる。何の見返りも求めずに。
今まで私の周りにそんな人間はいなかった。
君だけだ。
私には君だけなんだ、夕鈴・・・

不意に、彼はなぜか泣きそうになった。
馬鹿な、と打ち消してみても、胸に熱いものがこみあげてきて、あふれそうになる。
が、いくらなんでも夕鈴の前で泣くわけにはいかない。
彼は細心の注意を払って、極力音を立てないように、深く呼吸を繰り返した。
夕鈴は気付いているのかいないのか、ただ黙って抱き締めてくれていた。

気付いているのかもしれないな、と思う。
夕鈴は色事に関しては何故、と思うぐらい鈍いくせに、時折、物事の核心を真っ直ぐに突いてくるような妙に鋭いところがある。
もし気付いているとしても--気付かないふりをしてくれているのが、有難かった。
彼はなんとか息を整えた。

彼は、自分の体にまわされている夕鈴の手を取った。
「君は、温かいな・・・」
「・・・え?」
「夕鈴。私はずっと、温かさを知らずに生きてきた。知らぬまま一生を終えるなら、それでもいいかもしれない。けれど--知ってしまったからには、もう・・・」
もう戻れない。
温かさを知ってから、温かさのない寒いだけの世界へ戻れなんて、残酷すぎる。
「君がいなかったら、と思うだけで・・・おそろしくてたまらない・・・」
いっそ君と出会わなければ、こんな恐れは知らなくて済んだのだろうか。
こんな、全身の血が凍り付くような、鉛の棒で胸をえぐられるような--得体の知れない恐れを。
夕鈴を握る手に、力がこもる。
「・・・そばにいて、くれるか・・・?」
「そばにいます。ずっといます」
「うん・・・」
夕鈴は嘘はつかない。それは彼が一番よく知っている。
彼女の言葉が、心のすみずみまで沁み通るのを、彼は目を閉じて味わっていた。
それは温かく、彼の心をひたひたと満たしてくれた。
「・・・陛下がだめだと言っても、勝手にいますから」
彼女らしい言葉に、くすっと笑ってしまう。
「そうだ、君はそうだった・・・」
出会って、ごくはじめのころから、君はそうだった。
”私は勝手にあなたの心配をします”と言い切ったときの、涙を浮かべながら、それでもキッとにらみつけてきた君の顔を--もうずいぶん前のことなのに、昨日のことのように思い出せる。
ああ、そうか・・・あのときにはすでに、私は君に恋をしていたんだな・・・。

夕鈴の手が、彼の髪をなではじめた。彼がいつもしているように。
髪の毛の中に、そっと手を入れて。ふわっと空気を中にまぜるようにして、やさしくなでる。
夕鈴自身が気持ちいいと感じることを、してくれているのだろうかと思うと・・・嬉しかった。二重の意味で。
とても気持ちいい・・・。
「ゆーりんの声が聞きたい」寝言のような寝ぼけた声が出てしまった。
「いいですよ。じゃあ・・・」
彼女は鼻歌だけで、静かに、ゆったりとした調べを奏で始めた。
それはやさしくて、おだやかで。
何も心配しないで、何も考えないで、ただ眠ればいいのだと語りかけられているようで。
聞いているだけでとろんと眠くなってくる。
眠ってしまう前に、この体勢から夕鈴の腕を解放しなくては、と頭の片隅で思ったものの。
あまりに気持ちよくて、もう少し、もう少しだけ・・・と思っているうちに。
いつしか彼は眠りに落ちてしまった。 

~終~
 


なんなんだ、この甘えんぼ陛下は(^^;)
狼陛下みたいな人がふと見せる弱さ、みたいなのに萌える深見ですが。
いや、ふとどころかたっぷりすぎるだろ、って感じになっちゃいました。

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~ Comment ~

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>ニマニマ様 

たびたびコメントありがとうございますv
夕鈴相手に心がゆるんじゃう陛下が書きたかったんです。
ホント、陛下幸せですよねー……。
こんなに甘やかしていいのか?(笑)
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