スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←いただきもの 慎様よりイラスト 涙をこらえて微笑む夕鈴 →いただきもの 慎様よりイラスト ちょっぴり小悪魔風?夕鈴
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 短編
もくじ  3kaku_s_L.png 愛の檻シリーズ
もくじ  3kaku_s_L.png リレーss
総もくじ  3kaku_s_L.png +小説以外(感想・考察etc)
もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • [いただきもの 慎様よりイラスト 涙をこらえて微笑む夕鈴]へ
  • [いただきもの 慎様よりイラスト ちょっぴり小悪魔風?夕鈴]へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
 

短編

君に渇く

 ←いただきもの 慎様よりイラスト 涙をこらえて微笑む夕鈴 →いただきもの 慎様よりイラスト ちょっぴり小悪魔風?夕鈴
その夜、夕鈴の部屋に来るなり、陛下は長椅子にどさっと体を預けた。
「あーあ、今日もつっかれたー」
「お仕事、忙しいんですか?」
「うん、まあね」
そう言って彼は、夕鈴に手を差し伸べてきた。
その無言の招待に、夕鈴は勇気を奮い起こして--自分の手をぎこちなく重ねた。導かれるまま、彼の隣に腰を下ろす。
彼はにこにこしながら、夕鈴を見つめてくる。
夕鈴の手は、彼とつながったままで。
指先から、彼の温もりが伝わってくる。
「あの、顔に何か付いてますか?」
「ん?ううん、夕鈴がそばにいてくれると、元気が出るなあと思って」
彼があんまりうれしそうに笑うので、つられて、自然と夕鈴の頬がゆるんだ。
「それぐらいで陛下の元気が出るんだったら、そばにいますよ、私」
「うん。ありがとう」
彼の手が、夕鈴の手を持ち直す。
そっと、大切なものを扱うような手つきで--彼の手の中に、深く包み込まれた。
手のひらの熱まで伝わってきて、ますます意識してしまう。

陛下の手は、夕鈴のものより大きくて。
男の人の手だなあ・・・と思う。
指の節や手のひらの皮膚が、硬い。剣や槍を扱うからだろうか。
でもまめができたり、皮がむけたりという気配はまるでなく、なめし皮のようにしっくり馴染んでいる。
こんなふうになるには、長い期間かかったんだろうか。
彼女の知らない、彼の姿が垣間見える気がした。

あなたを知りたい。
だから・・・

それは彼女にとって、とても勇気の要ることだったけれど。
夕鈴は指先をかすかにくるんで--彼の手に添わせた。



彼の手の中で、夕鈴の指がぴくりと動いて--逃げることなく、彼に寄り添ってきた。
ほんの指先だけのわずかな動きだったけれど、十分驚きに値した。
夫婦演技も含めて、彼が夕鈴に触れることは日常茶飯事だったが、彼女のほうから積極的に触れてくるのは初めてだった。
桜貝のような爪をあしらった指先は、こまかく震えているようで--
見ると、彼女は耳まで真っ赤になっていた。
つられて、こちらまで赤面してしまうかと思ったほどだ。

彼女は顔を見られたくなくて、横を向いているのだろうけれど。
ちょうど彼の目の前に差し出された形の良い耳は、とても美味しそうで。
思わず、かじりつきたくなる・・・。
やわらかな耳たぶを唇でなぶり、耳の裏を舐めあげて、こりこりした縁を甘噛みして--愛しい名前を、甘く熱くささやきたい。それから・・・
彼は体温が上がるのを感じた。

このまま自分のものにしてしまいたいという欲望と、
大切にして、着実に関係を育てていきたいという願望とが、せめぎ合う。
胸が激しくざわめいた。
一体どちらを選べばいい?
こんなとき狼陛下になれば、彼女はいつものように逃げていくだろう。
いっそ狼が出てきて、この窮地から救ってくれないか--と彼は願った。
ところが、こんなときに限って、スイッチが上手く入らない。
(くそっ、いつもは抑えていても出てくるのに・・・!)彼は一層焦ってしまった。
どうしよう・・・。
彼はまるで初めて女性の相手をする少年のように、心が震えた。
ふいに、のどの乾きを感じて。
ごくん、とのどが高鳴った。

「陛下、お茶にしましょうか?」
「へ?あ、うん」
だしぬけに聞かれて、しかもある意味その提案は彼の欲求に適っていたせいか、思わず間の抜けた返事をしてしまった。
夕鈴は特にあわてるふうでもなく、いつものようにお茶を淹れるために席を外した。

長椅子にひとり取り残された彼は、頭を抱えて、深いため息をついた。
--夕鈴。僕の気持ちには鈍感なくせに、なんでそういうことはわかるんだ?
いや、なんでそういうことはわかるのに、鈍感なんだ、と怒るべきなのか。
もう怒るポイントすらわからないよ、夕鈴・・・。



夕鈴が淹れてくれたお茶を、口に運ぶ。
渇いていたのどが癒されて、その心地よさに思わず長いため息が出てきた。
「・・・すみません、おいしくなかったですか?」夕鈴が心配そうに聞いてくる。
「え?そんなことないけど?」
「寝る前だから、濃いお茶は良くないと思って。うんと薄くしてあるんです。陛下のお口には合わなかったかも・・・」
夕鈴の表情がしゅん、として曇る。
しまった。ぼーっとしていたのを不審に思われただろうか。
先ほどの火照りがまだ残っていて、我ながら、心ここにあらずという感じだったからな・・・。
「そんなことないよ、とってもおいしいよ?ちょうどのど渇いてたしね。夕鈴はよく気がつく良いお嫁さんだよね」
「え・・・」
褒められて、うれしそうにはにかむ彼女が、これまたとても可愛くて。
はあ~。
そんな可愛い顔をされてもさ~。
僕にどうしろと??
喜べばいいのか泣けばいいのかわからないよ・・・。

彼は自分の表情を隠すように、茶碗を口元に当てて、中身をすすった。
ほとんど白湯に近いはずなのに、それは甘くほろ苦いような、不思議な味がした。

~終~



温泉編で陛下がお風呂からあがるときの、夕鈴の「ギャーーーー!!!」に萌えました。
どんだけかわいい生き物だよ夕鈴!道のりは遠いぞ、黎翔!
なんて考えていたら、こんな話になりました。
これを書いたのは5巻を読む前です。なのでなんとなく温泉編の後で5巻の前という雰囲気ですね。

もくじ  3kaku_s_L.png 短編
もくじ  3kaku_s_L.png 愛の檻シリーズ
もくじ  3kaku_s_L.png リレーss
総もくじ  3kaku_s_L.png +小説以外(感想・考察etc)
もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • [いただきもの 慎様よりイラスト 涙をこらえて微笑む夕鈴]へ
  • [いただきもの 慎様よりイラスト ちょっぴり小悪魔風?夕鈴]へ
 

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント:投稿可能です。
  • [いただきもの 慎様よりイラスト 涙をこらえて微笑む夕鈴]へ
  • [いただきもの 慎様よりイラスト ちょっぴり小悪魔風?夕鈴]へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。